第1話-2

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テレビ局というのは、視聴者を乗せるような、テレビ的な発言をしてくれる、テレビ的 なキャラクターを使いたがるのです。 中畑は、トップ下には合っていない。 彼のプレースタイルは、ボランチの選手だ。 だから彼は、ボールをもらって使われる側のプレーができていない。 彼の強烈な、自己中心的な性格は、『俺は使う側だ!』という意識のため、それが強す ぎて、使われる側の動きができていない。 だからトップ下の、動きができていないという問題がある。 トップ下は、使う側ではなくて、使われる側なのだ。 2トップの、トップ下は、どんどんゴール前に入って、3人目の動きをしなくてはなら ない。 前線に一番近いから、トップ下が一番最初に攻撃参加しなくてはならない。 しかし中畑は、引いてきてボールをもらって、人を使おうとするプレーをする。 その動きは、ボランチの動きなのだ。 中畑は、自分はトップ下が一番合っていると言い張るが、評価は他人がするもの。 中畑は、トップ下に合っていないと言わざるを得ない。 日本人は、中畑みたいに個性的で、アウトサイダーな、カリスマ性がある人物が好きで すからね。 岡畑監督は、日本代表にリトリートという戦術を導入した。 リトリートとは、ボールを奪うまで、ほぼ全員が自陣に帰り、ボールを奪い返してから、 前線に攻め上がるという戦術の一つだ。 そのかいがあってか、日本代表はあまり失点しなかった。 しかしサッカーは、メリットがあるところの裏に、デメリットが存在している。 そのリトリートのデメリットとは、人を前線に残していない分、攻撃力が低下して、点 を決める確率が下がるというものだ。 メリットは、守備力が高まるから、失点する確率が低くなる。 リトリートすると、自陣で引いて守っているだけに、ボールを奪取する位置が低くなる。 そのボールを奪う位置が低ければ、低いほど、相手ゴールに持って行くまでに時間がか かる。 その時間が、かかれば、かかるほど、ボールを運んでいるあいだに、相手の守備陣型が 整って、ボールをカットされる。 ボールを奪う位置が低ければ低いほど、ゴールにつながる可能性が低くなる。 だから全体を低く位置させるリトリートをすると、攻撃力が低下して、点を奪う確率が 下がるのだ。 日本代表の守備役と、攻撃役の割合は、8:2。
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