第1話-2-2-2

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フランスの、サンドニスタジアムで、ウェンゲル監督のアーセナルを、2対1で破った。 このバルセローナには、ブラジル代表のロナウジーニャや、アルゼンチン代表の、マラ ドーネ2世の、リオネル・メッジらがいて、監督はミランでも活躍した、オランダ人のラ イガールトだった。 スペクタクルで魅力的なサッカーが、欧州を制した。 UEFAカップは、スペインのセビージャが、イングランドのミドルズブラを、4対0 で破り、優勝する。 05‐06シーズンのイタリアセリエAの優勝クラブは、インテルだった。 しかしこのシーズンで、一番勝ち点を稼いだのはユベントス。 しかしユベントスは、カルチョスキャンダルと呼ばれる、八百長が発覚したことで、処 分を受けて、セリエBへの降格処分を受けた。 その国内の逆境をバネにして、イタリア代表は団結して、見事ドイツW杯で優勝を果た したのだ。 05‐06シーズンのセリエAの得点王は、31点で、フィオレンティーナのルカ・ド ニ。 倉木飛馬、25歳。 所属しているクラブは、イタリアのローマ。 そのイタリアでも、飛馬のサッカー選手引退の話が話題になっていて、去就が注目され ていた。 ドイツW杯が閉幕してから、数週間後。 日本サッカー協会では、ドイツW杯の総括が行われていた。 その会場の壇上に、凩忍工(こがらし・にんく)が立った。 凩は、相手の分析とか、最先端で、斬新な、効率的な、戦術を、日本代表に導入して、 代表の成績を高めたことで、評価されていた。 その戦術担当コーチとしての、優秀な仕事ぶりと、戦術眼や分析力による、戦術リポー ト報告書が評価されて、日本代表チームの、技術委員長にまで上り詰めていたのだ。 そうやって抜擢された凩も、協会の人間として、お偉いさんになっていた。 その凩が、今宵の総括の司会をする。 凩「えー、私、凩忍工は、戦術部門担当コーチから出世して、現在は、技術委員長という 役職を全うしております。その私が、今日の、ドイツW杯の、日本代表チームの反省会を、 担当させてもらうことになりました。よろしくお願いいたします。」 この反省会は、日本サッカー協会の内部で、非公開で行われていた。 凩の野太い声が、シーンと静まり返った会場のスピーカーから流れる。
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