第1話-2-2-2

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った。だから日本の選手たちは、約束事を決めていないから、戦術通りの動きがなく、そ の場その場の、自分たちの単発の想像力でプレーしていた。だから組織的にボールを運ぶ 動きとか、組織的にボールを奪う動きなど、監督が授ける戦術がなかったからこそ、組織 全体の総合力が発揮することができていなかった。だから個人頼みの、その場その場で考 えながら、遅れたプレーをしているから、ジッコ監督のサッカーにはスピード感が欠けて いた。お笑いで例えると、ブラジル代表のように、その場その場でボケを考えるよりも、 あらかじめ打ち合わせしていた方が、ボケ(フェイント)が、ツッコミ(デフェンス)に、 遮られることなく、鉄板(点を取るパターン)に持ち込むことができる。そうやって戦場 では、爆笑(ゴール)が生まれるところまで、持っていかなければいけない。しかし日本 人たちは、打ち合わせしていたら、必然的に、爆笑(ゴール)まで持っていけるのだが、 アドリブ(独創性)が効かない芸人ばかりだったと、例えればわかりやすいでしょう。」 凩「ジッコ監督のサッカーには、守備に統一性がなかった。前線からプレスをかけること もなく、相手に、後ろから前を向かせない厳しいチェックもしなかった。だから相手に、 簡単に前を向かせてしまっていた。しかしそれは、選手たちが自分たちで選んだサッカー だった。ジッコ監督は自主性に任せて、クロアチア戦まで指示をしていない。オーストラ リア戦までの日本人選手たちが選んだ守備方式は、ローリスク・ローリターンを意味する ものだと思います。相手がある程度攻めてきてから、本格的にプレスをかける。そして相 手が攻めてきて、必然的に裏に空くスペース(穴) を狙う。これは省エネのサッカーだ。 そしてもし、先制点を挙げることになると、より相手が攻めてきてくれるので、ますます 裏に穴があく。するとローリスク・ハイリターンの構図に変わる。しかし日本は先制した のにもかかわらず、FWに決定力がなかったので、絶好のチャンスを決めきれなかった。 そうしているあいだに、同点弾を決められてしまった。そして逆転負けを喫する。全試合 の中で、日本だけが逆転負けをしたのだ!」 凩「宮裏らの、代表選手たちは、省エネのサッカーを選んだ。そしてジッコ監督の自由な
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