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茜色に染まる坂道を登り、家の玄関を開ける。スモークガラスに一つの影。それは激しく動く。
お母さんかな?そうおもい、リビングへの扉を開けた。
そこには、丸太のように太く筋肉質の足。引き締まったヒップ、さらにしめ縄のように太い腕。
それらは全て黒く、脳の冷静な部分が告げる。
これは加藤さんだ。
しかし、あせり、叫びたくなる気持ちが勝ってしまい乙女の叫び声とは程遠い咆哮が響き渡ったーーーー。
ソファーの物陰から惨状を眺め、優越感に浸るゴキブリが一匹。
ざまぁ見ろ。
内心でせせら笑い、飛びかかる準備をする。
真っ黒いアイツがこちらを向いた……瞬間!
羽を羽ばたかせ、一つの矢のように一直線に駆け抜ける。ゴールにすっぽりと収まるボールのように、黒いやつの口にホールインワンした。
そして、またもや乙女の物とはけた違いの悲鳴が響き渡った。
加藤。享年?。スイーツ(笑)
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