君がいたはずの夏

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「夏希...?」 機械のように振り返る。 そこには以前と変わらずニコニコと笑い、後ろで手を組む荒阪夏希(あらさかなつき)の姿があった。 「久しぶり、幸ちゃん」 本当に...本当に... 頬を温かいものがつたった。見ずともわかる、涙だ。 泣いているのだ、俺は。 「感動の再会なのはわかるけど、泣くことないでしょー」 おちょけた調子でいう夏希は今も幻のようで信じられない。 そんな俺を察したのか、夏希は説明を始めた。 「私ね―――――」 彼女は既に死んだ人だ。一ヶ月前に病気で。俺は彼女の死に際にあえなかった。何も知らず、学校で授業を受けていたのだ。 余命はあと一年残っていたはずだった。別れを告げるまもなく、夏希はこの世から消えた。
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