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大きな真っ白のキャンバスを目の前にして
僕はとりあえず筆をとる
何を描こうかなんてことは未だ考えてなくて
筆に絵の具をつけながら
真っ白なキャンバスをじっと眺める
何を描こうかな
ぼんやりとみつめて
ふと考えついたのは
どこまでも青い空
いつまでも流れる白い雲
囀りをやめない小鳥たち
風が揺らすたくさんの葉
僕は筆を根元から
真っ白なキャンバスに
ぶつけた、おしつけた
ぎゅーって 精一杯
真っ白だったキャンバスは
色がついて光輝いた
きらきらしてて
耳を澄ませば
音まで聞こえてくるよう
僕は筆をおく
目の前に広がるのは
僕が描いた 世界
世界だ 世界だ
僕は 世界 を 描いた
僕は 笑う 笑う 笑う
不気味に そして 美しく
真っ白だったキャンバスに
僕は 僕の世界を描いた
何を描こうかな
そう考える間もなく
腕は 動いた
僕は 笑う 笑う 笑う
世界を 僕は 描いた
大きな真っ白のキャンバスを目の前にして
僕は筆に手をのばす
でも 結局は
怖くて 握れなかった 筆
僕は 夢を描く 夢中で
それは 醒めることのない
夢中で 夢中で 描く夢
真っ白なキャンバスは
夢は 醒めれば 終わり
夢中で描いた 世界
それは どこへ消えたのか
目の前にあるのは
ただただひたすら
真っ白な
真っ白で大きな
キャンバスだった
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