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静かすぎる。
まもなく日付の変わるミラノ郊外の農道は静寂に包まれていた。
聞こえるのはゾンダのピストン音とギアの変わる乾いた音だけ。
見えるのは定期的に通り過ぎる、明るさの足りない街灯だけ。
その静寂は、高まっていたレオの感情を徐々に凍てつかせてゆく。
なぜだ。
俺はヤツらにスカウトされたのだ。
もう少し歓迎してくれたっていいんじゃないか。
まもなく着く。
レオの自宅から30分も離れていない。
ミラノ中心部から少し外れた農地のとある場所が目的地だ。
そこが何かは分からない。
ワイルドウイング……レオをスカウトした運び屋グループからのメールは謎に包まれている。
タイトル、『トランスポーター募集のご案内』。
本文……。
『Martedi 00:00
Si prega di venire da solo.
45,26,29.98 09,24,35.80』。
火曜の午前零時に一人で来る旨と、意味不明な数字の羅列。
この数字が座標を示していることは、ジジの直感がなければ分からなかった。
北緯45度26分29.98秒、東経09度24分35.80秒。
その座標にむかっているのだが、第一ジジの考察が当たっているのかも分からない。
高揚は徐々に不安に変わる。
行けど行けど道以外に何も見えない
。
着く、着いてしまう。
……ここか。
ゾンダはその座標で足を止めた。
その座標と自分が重なった途端、右手に突然建造物が現れる。
その建造物とは、廃れた農場だった。
![image=485100989.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/485100989.jpg?width=800&format=jpg)
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