さっきまで寝てた女

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「うぉあッ!?」 間合いはおよそ30~40メートル。 レオは手近のハーベスターの後ろに飛び込んだ。 弾丸が周囲の木箱を撃ち抜き、銃声と破壊音が轟く。 確認できるのは三人、恐らく後ろにも何人かいる。 軍の特殊部隊のような装備だが、白を基調とした身なりでやたらと目立つ。 ハーベスターには何発も命中しているらしく、腕も甘くない。 なんなんだヤツらは。 歓迎してくれるとは思っていたが、歓迎が過ぎる。 下手をせずとも死人の出る歓迎会だな。 だがもちろん、こんな展開を全く予想していなかったわけではない。 「おもしれぇ……そういうのを待ってたんだよ!!」 レオはスーツケースから、ジジに指示されて持ってきた物を取り出す。 長く愛用してきた、サソリの名を持つ短機関銃を。 弾幕が止んだ一瞬の隙をつき、レオはハーベスターの影を飛び出した。   ババババババババッ!!!! 乾いた銃声を撒き散らしながら、レオは右前の籾摺り機の陰に滑り込む。 すぐさま籾摺り機に銃弾が撃ち込まれはじめた。 ミリタリーコートのポケットから新しいマガジンを取り出しリロード。 スコーピオンを撃つ。 隠れる。 撃つ撃つ隠れる撃つ。 飛び出す。 滑り込む。 撃つ。 やった。 一人やった。 隠れる。 レオの高揚は不安に変わったが、その不安は今、またもや高揚になった。 滾りやがる。 撃つ。 隠れる。 滾る腕。 身体中の血管を駆け巡るアドレナリン。 鼓膜を揺らす鳴りやまない銃声の旋律。 そうだ。 危険な仕事というのはこういうことだ。 硝煙の臭いは同時に札束の香りによく似ている。 飛び出す。 撃つ。 滑り込む。 隠れる。 間合いは10メートルまで縮まった。  
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