16人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
「うぉあッ!?」
間合いはおよそ30~40メートル。
レオは手近のハーベスターの後ろに飛び込んだ。
弾丸が周囲の木箱を撃ち抜き、銃声と破壊音が轟く。
確認できるのは三人、恐らく後ろにも何人かいる。
軍の特殊部隊のような装備だが、白を基調とした身なりでやたらと目立つ。
ハーベスターには何発も命中しているらしく、腕も甘くない。
なんなんだヤツらは。
歓迎してくれるとは思っていたが、歓迎が過ぎる。
下手をせずとも死人の出る歓迎会だな。
だがもちろん、こんな展開を全く予想していなかったわけではない。
「おもしれぇ……そういうのを待ってたんだよ!!」
レオはスーツケースから、ジジに指示されて持ってきた物を取り出す。
長く愛用してきた、サソリの名を持つ短機関銃を。
弾幕が止んだ一瞬の隙をつき、レオはハーベスターの影を飛び出した。
ババババババババッ!!!!
乾いた銃声を撒き散らしながら、レオは右前の籾摺り機の陰に滑り込む。
すぐさま籾摺り機に銃弾が撃ち込まれはじめた。
ミリタリーコートのポケットから新しいマガジンを取り出しリロード。
スコーピオンを撃つ。
隠れる。
撃つ撃つ隠れる撃つ。
飛び出す。
滑り込む。
撃つ。
やった。
一人やった。
隠れる。
レオの高揚は不安に変わったが、その不安は今、またもや高揚になった。
滾りやがる。
撃つ。
隠れる。
滾る腕。
身体中の血管を駆け巡るアドレナリン。
鼓膜を揺らす鳴りやまない銃声の旋律。
そうだ。
危険な仕事というのはこういうことだ。
硝煙の臭いは同時に札束の香りによく似ている。
飛び出す。
撃つ。
滑り込む。
隠れる。
間合いは10メートルまで縮まった。
最初のコメントを投稿しよう!