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「凛音ー準備は出来たのー?」
「勿論!ちゃんと出来てるんよー」
下の階から呼ばれた声に、凛音は元気よく応えた。
「そう?なら早く下りてきなさいよ?朝ご飯出来てるからね」
声は母親のもので、朝食が出来たことを教えてくれる。
「はーい」
凛音は、間延びした返事をした。
それから、鏡の方へと体ごと向けた。
指先で癖の付いた髪の毛を弄ぶ。
大きな紫色の瞳が、鏡を通して指先を見つめた。
「後はこの癖が無けれりゃあなぁ……」
短い橙色の髪はふわふわとしており、所々が外側に跳ねている。
「……まぁ仕方ないんね」
納得がいかない凛音だが、こればかりはどうしようもない。
髪の毛は諦めることにした。
鏡を見たまま机に置いてある帽子を手にとって、頭に被せた。
片側のみ留められた、薄い桃色のリボンの位置を整える。
そうして、凛音は鏡の前で笑みを浮かべた。
「これで良し!」
準備は出来た。
凛音は、昨夜のうちに教科書など入れておいた鞄を手に取る。
くるりと鏡の前で回ってから自室の扉を押し開けた。
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