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醜い、醜すぎる。
神は人間の薄情さと残酷さと冷酷さに慄いた。
いじめや、差別、偏見。
そして、誰からも愛されなくなった少女。
両親も少女の異能力に恐れ、施設へ入れるか話していた。
「ああ、なんということだ!! これだけ、ひどいとは。理解不能な力は人間をここまで狂暴化させ、そして、恐れられるのか。悍ましがられるのか。ああ、なんとひどい、ひどすぎる!!!」
神の叫び、慟哭は、天界に響き、憐れんだ女神はこう言った。
「それでは彼女に創造の力を与えましょう。そして、別世界を創ってもらうのです。異能者が安心して暮らせるように」
女神は悲しみ荒ぶる神に優しく続ける。
「そうすれば、彼女はもう泣かなくても済みます。そして、彼女には【親友】を与えましょう。ほら、この現象で困っている、[松宮 竜牙]という男の子がいたじゃないですか。彼には彼女を守れる力を授けましょう。そうすれば、彼もまた自分の存在意義を見出せます。こんな素晴らしいことはないじゃないですか」
女神のその奏でる言の葉はまるで、琴のように耳になじむ。
「ね? 全知全能の神であり元人間の黒岩優さん?」
光の溢れる天界は小鳥の囀る音と。
小川の流れる音。
そして、幼少期に死んでしまった可哀想な子供の遊ぶ声。
穏やかな。
そう、穏やかで美しい世界で、
そんな神々の会話が繰り広げられていたことなど。
誰も知らない。
雨が降る。
神が泣き叫んだ分。
神が憐れんだ分。
雨が、降り続ける。
そして、その雨の中で、少年は少女を見つける。
小さな公園の中で楽しげに遊ぶ少女を見つけ。
少年はその小さな胸を高鳴らせる。
「ねぇ、遊ばない?」
傘も差さずに、楽しそうに笑う少女に声をかける。
少女は、しゃがみこんだまま、何かを熱心にしている。
少年は気になり、少女の前に回り込む。
そして、その目で見たのは、白い濡れた猫。だったもの。
今はもう、その体に魂も命も宿していない、ものと化した猫。
少女はその猫を抱き上げて楽しそうに笑っている。
血まみれになりながら。
「何して遊ぶんですか? また、汚いものくわえなきゃならないんですか? それとも、裸になりますか? 一緒にまた痛くて苦しいことしなきゃならないんですか?」
感情が一切感じられない声に、少年は腹の中が冷たくなる。
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