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麻紀は仕事を続けるらしい。
国内営業同士なので、麻紀の転属にも便宜を図ってもらいやすいみたいだ。
それも大きな決め手だったから、
確かに不純だなと麻紀は笑っていたけれど。
正直、羨ましかった。
私と戸川君の歩く道は同じじゃない。
今は隣を歩いていても、
いつか離れていくんだろう。
もしその時、私が自分の道を諦めて戸川君を望んだら、戸川君は私に幻滅するだろうか。
“彼女なら大丈夫との思い込みが
彼女を追い詰めた”
片桐さんの言葉の意味が分かる気がした。
親友が人生の大きな決断をした。
私は、どうなっていくんだろう?
手を温めようと買った缶コーヒーはもう冷たくて、自分のこの先の孤独な一本道を思い、ため息をついた。
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