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戸川君の耳にも噂は届いているんだろうか。
週末、忙しそうだったけど、仕事の時間が終わるといつも通りの強気な彼だったし。
片桐さんのことは一度も話題にならなかったけど、それもかえって不自然な気がしなくもない。
「ねえ、噂ってどんなの?」
「付き合ってるとか。休みの日に一緒にいたってのも聞きました」
「心当たり、全くないんだけど」
「噂ってそんなもんですよ」
「やっぱ片桐さんが王子だからなんだね…。三浦君とじゃ、何の噂にもならないのに」
「先輩、ひでー」
放っておけば消えるのかな。
戸川君から何も聞かれていないのに、わざわざ私から弁明するのもかえって変だろうか。
これから、泊まりがけの仕事が増えるのに。
仕事のしづらさと、戸川君のことが気がかりで、ため息が洩れた。
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