5220人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
こんな時、コンプレックスがムクムクと頭をもたげてくる。
過去に何度も恋人を奪われた。
信じてるだけでは駄目だった。
もっと疑えばよかったのかなとも思った。
でも過去の誰も惜しくはない。
戸川君だけは、耐えられない。
そんな存在を持つと人は強くなれるはずなのに、私はかえって弱くなるみたいだ。
わざわざ私に話かけてきた彼女が怖かった。
「成瀬さん、どうしたの?」
気付けば少し先で片桐さんが振り返っていた。
「あ、すみません、行きます」
戸川君は過去の誰とも違う。
そう思うのに、
やっぱり不安で仕方なかった。
最初のコメントを投稿しよう!