偶然と疑惑

5/37
前へ
/37ページ
次へ
変な汗をかきつつ話題を戻した。 「彼が無事なのかも分からない状態に、これからは慣れなくちゃならないんですよね。彼も大変だろうから負担になりたくないし」 「でも、こんな思いさせてたら、戸川君もそのうち後悔することになるかもしれないな。僕みたいに」 「僕みたいに?」 「うん。昔の話だよ」 片桐さんはコーヒーをくいっと飲み干すと小さく笑った。 「彼女なら大丈夫っていう僕の勝手な思い込みが彼女を追い詰めてしまってね。気付いた時には手遅れだった」 多分海外に行ってしまった亀岡さんとの破局を指してるんだろう。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5230人が本棚に入れています
本棚に追加