偶然と疑惑 #2

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「なんか、 余計に気力も体力も消耗した気がする…」 ご飯を食べる元気もなく、 ぐったりと膝に顔を埋める私に、 戸川君が楽しそうに言い放った。 「お前、ずっと俺に抱きついてたくせに。 あんな大胆に誘ってくると思わなかったな」 「なに言っ…、 離れたら見えちゃうからでしょ!」 「ま、そういうことにしといてやるけど。 だけどお前の声、すご…」 「わーわー、言わないで!」 お箸が落っこちるのも構わず、 戸川君に猛抗議する。 今はリビングで、 二人で用意した適当なご飯をつついている最中だ。 騒ぎが一段落すると、 私はしょぼくれて謝った。 「ごめんね。 …ちゃんと作る余裕なくて」 「別に、飯なんかどうでもいい。 お前がやんなきゃいけない義務ないだろ」 「でもさ…」 私はヘタじゃないと思うけど、 とにかく平日は忙しくて、 凝った料理の腕を磨く余裕がない。 もっと自信をもってふるまえるレパートリーがあればいいんだけど、しみったれた惣菜ばかりだ。
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