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「去年のよりバージョンアップっつーか、
それヤバいっすよ先輩」
ドリンク剤を開ける私の横で、
三浦君が余計な口出しをしてくる。
「去年は可愛いの飲んでませんでした?
女の子向けの」
「あれじゃ効かないのよ。
私もう女の子じゃないってことかもね」
飲みながら、黒地に金文字のゴテゴテした外箱をぼんやり眺めた。
「オッサンですよ、それ」
「でも効きそうでしょ?
…ちょっと、海事に届け物してくるね」
戸川君と初めて一緒にお風呂に入ったあの日から一ヵ月あまり。
あの翌週も泊まり込みがあった。
徹夜明けの体で頑張ったものの、
また戸川君のマンションで眠りこけてしまった。
大丈夫だからといくら言っても、
これでは説得力がない。
元気に振る舞おうと思っても、
溜りに溜まった疲れはどうしようもなかった。
その次の週末は戸川君の出張で会えず。
会えない週末と、会えても疲れで満足に過ごせない週末との繰り返しで、もどかしいまま日々が過ぎていた。
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