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目の前の、冷めてしまった料理に視線を落とした。
そうだ。
煮物でも天麩羅でも、食べたいものがあったら外食で済むのに。
体を壊しながらの頑張りは、
心配をかけるだけだった。
「おしまい、じゃないよね…?」
戸川君の顔を見るのが怖くて下を向いたまま、溢れた涙がつーっと頬を伝った。
「バカ、そんなこと言ってない。
…おい、泣くな」
「うん…」
体が弱ってるせいか、
涙もろくなってるみたいだ。
止まらない涙がポタポタと膝に落ちる。
「泣くなって」
ぐいっと腕を引き寄せられて、
ぎゅっと抱き締められた。
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