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でもお風呂の中では、戸川君はいつになく大人しかった。
いつもなら私が半泣きになる顔を見ようと、あの手この手でからかってくるのに、今日は私を後ろから抱っこしたまま、妙に静かだ。
「どうしたの?今日は静かだね」
「…体調、悪くないか?」
「大丈夫だよ。お腹痛くないし」
愛しくて恥ずかしさも忘れ、私はお湯の中でくるりと向きを変えて彼の膝の上に乗った。
「お…おい、何する気だよ」
「ふ、慌ててる」
彼の首に腕を巻き付け、
大好きな顔を見つめた。
しばらく…といってもきっと1ヶ月程度だけど会えなくなるから、しっかり焼き付けておこうと。
奥二重の目にキスをした。
私の大好きな冷たくて優しい目。
濡れた前髪にも、頬にも、
普段はへの字の唇にも。
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