偶然と疑惑 #2

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「分かってるよ」 一言、そう言った戸川君の目を 真っすぐに見た。 単なる噂だろ、と意味を込めて言ってくれてるんだと分かる。 「見てたら分かるよ。 一生懸命、純粋にやってるのが」 必死で弁明しなくても理解してくれていたことにホッとして、彼の胸にゆっくりもたれた。 「どんな噂が回ってるのか、 私もあまり知らないんだけど、 全部ウソだと思うから」 「うん」 「あの仕事、 正直途中で駄目になる可能性高いの。 海事が絡んでるから、戸川君に失敗を見られるのが恥ずかしくて言えなかった」 「どんな仕事かは 米州部の奴から聞いて知ってる。 片桐さんと紗衣がやって駄目なら 誰がやっても駄目だろ。 皆そう思ってるよ」 「ありがとう…」 戸川君の背中に腕を回して胸に顔を埋めると、穏やかな鼓動が聞こえた。
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