第三話 『来訪者』

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ワイルドボアの血と皮と骨を破壊魔法で分解して、服の血は浄化して消す。 俺は肉をボックスと言われる異空間に入れる。 ふと、俺の魔力探知に引っかかった集団がいる、魔力の性質からして人間しかし問題なのは数だ、一個旅団いる、それも竜族の巣の方へ魔物を倒しながら向かっている、竜の巣のある場所を知っているのは竜騎士の国アルビス以外いない。 つまり、アルビスが竜の卵を目的に兵を送り込んだのだろう。 それも竜の巣に旅団で挑むってことはかなり優れたものがいるに違いない、普通は竜の巣は一個師団で攻めるものだ、なんたって子供の竜でも人を殺せる魔法を連発できる上に、魔法の攻撃は竜の鱗を通しにくい性質を持っている、長生きしている竜ほど鱗も堅く物理攻撃さえなかなか通らないのだ。 「拙そうだし、帰って報告と備えるか」 転移魔法を使い峡谷に帰って来た、転移魔法は空間と空間を繋ぐ魔法だと思ってくれていい、わかりやすく言えばテレポートだ。 俺はリリスの巣に直接着いた。 リリスはまだ寝ている。 「リリス、起きろ!」 「ほぇ……?」 リリスは眠そうにベッドから起き上がる。 「問題が起きた。こっちに一個旅団が向かってきてる。他の竜達に念話で伝えてくれ」 「分かりました。……また卵が狙われるんですね」 涎を垂らして寝ていたリリスだったが、涎を拭き真面目な表情を浮かべる。 念話とはテレパシ-みたいなものだ、竜族達は独自の方法でリンクしている、リンクしていると種族全体に念話を一度で出来たりすることができるので便利だ。 まあ、だから喋らなくても統率は取れるわけだ。 そしてリンクが切れたら、それはその竜が死んだことを意味する。 竜が死んだらその記憶は仲間に受け継がれる仕組みになっていて、他の竜が死ぬ度に知識を得ていく。 リンクの方法は血をお互いに交換することなので、卵の状態の竜には適応されない、まあ、そんなことをアルビスの連中が知ることではないんだがな。
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