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「正明、勇者だからって調子に乗るな。それに手足っていい方は問題だ。普通は仲間だろ?自分の手足になるってんならそれはただの道具だ。竜を仲間だと認識しない奴に、俺の仲間は預けられないな?」
そう言って俺は武器を退ける。
武器を退けられて恐怖から開放されたのか、正明の表情は恐怖はない、だが驚きはある。
武器をボックスにしまうと、尻もちを着いている正明の襟首を掴み、俺の方へ引き寄せる。
「返事はどうした?まだ手足っていうか?」
「勇……、髪と目の色が……」
「返事はどうしたって聞いてるんだが?」
俺は魔力の込めていない拳で正明の頬を殴る、魔力は込めてないが手抜きはしていない。
俺に胸ぐらを掴まれてる正明は固定されているため、モロに頬に俺の拳を受けた。
「痛っ!!」
殴られた正明は頬を押さえながら、口の端から血を少し流している。
「勇に殴られたの、初めてだね。僕が殴ったことはあったけど……」
俺が正明に殴られたのは勇者としての活動を終え、地球で俺が見つかった時だ、丁度異世界に飛ばされた公園に戻って来て、夕日を見ながら、やれやれと思って家に帰る道を歩いてた時に、正明に会って、泣きながら本気で殴られた。
俺はただのクラスメイトで心配する必要もなかったのに、クラスメイトってだけで心配して、三日間遅くなるまで俺を探してくれたのは正明だけだった、俺は殴られたけど、心配掛けたから謝ったさ、まあ、つまり言いたいのは良い奴ってことだ。
「そうだな、で、考えは変わったか?」
「そうだね、僕が間違ってたよ。手足なんて言って、ごめん」
「よし、それでいい。あ、あと正明、俺の髪と目の色のこと誰にも言わないでくれ」
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