第一話 『異世界召喚』

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「もう一人声が……、黒髪!?」 土下座をしていた女性は顔を上げ俺の方を見て驚きの声を上げた。 そりゃそうだ、黒髪は魔族だけだからな、魔族といえば敵だ。 勇者を呼んだのも魔族を倒す為に呼んだと判断していいだろう。 周りの人間も動揺しているようだ。 俺はローブの集団に声を掛ける。 「まあ、落ち着いてくれ。勇者の召喚をしたような感じだが、俺は完全に巻き込まれただけだ。あんたらにどうこうするつもりもないし、できれば早急に元の世界に戻して欲しいんだが、できないか?」 「地球と呼ばれるところでは、日本人と呼ばれる人達は黒髪だと伝承にあります。黒髪ですが、魔族ではないでしょう、皆さん、落ち着いて下さい。申し訳ないですが、今すぐに地球に帰す事はできないのです」 「勇、勇者として僕達呼ばれたんだから、それなりに頑張って人助けしてからでも帰るのは遅くない。だから、この人達を助けよう」 「分かったよ。正明がそう言うなら、助けることに賛成しようか」 「勇者様方、ありがとうございます。ずっとこのような場所にいるのもあれですから、場所を移しましょう。ついてきて下さい」 場所を移動し、応接室のような場所に来た。 赤い絨毯に赤いふかふかのソファーに二人で座る。 目の前には先程の女性が座り、ローブの人達は二人だけ女性の背後に立っていて、他十人はどこかに行ったようだ。 目の前の女性がローブを脱ぎ、背後の人にローブを渡す。 女性は水色の髪の毛は腰まで長くストレートで、瞳は赤色だ、白い質素なドレスを着ているが布は上質のようだ。 女性は座り直すと口を開く。 「私はこの国の姫で名をアクア・ミユ・アルビスといいます。お二人のお名前をお伺いしていいでしょうか?」 「ぼ、僕は斎藤正明といいます。姓が斎藤で名前が正明です」 正明はアクアが姫様だと知ると、かなり緊張しながら自己紹介をした。
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