第一話 『異世界召喚』

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俺は姫様だろうといつもどおりに話すとするか。 「俺はユウ・タナカだ。よろしくな、アクア」 「姫様の名を呼び捨てにするなんぞ、打首にしてくれる!」 背後の人、男性の怒声が聞こえるが俺は特に気にした素振りは見せないでおく。 「止めなさい、レイモンド。この方々は地球から来ているのです。文化の違いなどもあるでしょう。我々は頼む側だというのを忘れてはなりません」 「姫様がそういうのであれば、異論はございません」 「ところでアクア、この世界のことを教えて欲しいんだが、訳の分からない状態で、助けるもなにもないだろう?」 「そうでした、我々の敵についてお話しますね。我々の敵は魔王です。千百年前に魔王は倒されました、ですが、五十年前新たに魔王と名乗るものが現れ、魔族とは戦争している状態です」 「勇者とくれば魔王を倒すのは当たり前だよね」 正明は納得しているようだ。 「マサアキ様は勇者として間違いなく、属性魔力共に最高クラスです。しかしユウ様は闇属性で魔力がないので、勇者としての素質はありませんね」 黒い目の色は魔力がないことを表している、完全に無いわけではない生命維持に必要な魔力量しか無いため、魔法が使えないだけだ。 「俺は巻き込まれたただの一般人なんだから当たり前だな、勇者はイケメンって決まってるようなものだしな」 「ユウ様申し訳ありません。このような形で巻き込んでしまって……」 「別にいいって、想定外のことだって起きるさところで俺の処遇はどうなるんだ?役立たずを国に置いておくほど余裕はないだろ?」 「はい、ユウ様にはこの城から出て行ってもらいます。一文無しで追い出すわけではないので、ご安心して下さい」 「そりゃー有難いな」 「勝手に話が進んでるけど、勇はここには居られないってことだよね?僕の親友なんだよなんとかならない?」 「正明無理言うな、国だって大変なときなんだ。俺みたいな役立たずを一文無しで追い出したりしないだけいい国なんだよ」
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