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「でも……」
「でもじゃないだろ?それに一番大変なのは正明だぞ?これから鍛えて魔族と戦わなきゃならないんだからな」
「分かったよ。勇が大変な目に合わないように、僕は頑張って魔王を倒すよ」
「ああ、頑張れ」
「ではこの国のことをお教えしますね」
この国は竜を飼っていて戦闘時には竜騎士隊がでるそうだ。
領土も広く、魔物が出にくいので、国民は安全に暮らしているそうだが、末端は魔物の被害に遭ったりするようだ。
硬貨は金貨一枚=銀板十枚=銀貨百枚=銅板千枚=銅貨一万枚の価値がある。
食事は一食銅貨五枚で済み、宿は一泊銅貨一五枚が平均だそうだ。
俺が革袋で貰った額は金貨三枚、しばらくは遊んで暮らせる額だ、後は髪の毛を隠す為に茶色のローブが渡された。
「こんな俺に色々してくれてありがとな、アクア」
「いえ、これだけしか出来ず、申し訳ありません」
「正明頑張れよ」
「うん、僕頑張るよ。人の助けになるような勇者になるよ」
「それじゃあ、俺は行くな」
俺はローブの集団に連れられ、魔法陣のある部屋に通された。
「ここから、どこかに転移させられるのか?」
「それを貴方が知る必要はない」
その声と同時に脇腹に痛みを感じた、短剣が脇腹に刺さっている。
なるほど、この集団も一枚岩ではないわけか、演技でもしておくか。
「うぐっ……、何の、つもりだ……レイモンド」
「黒髪は魔族の印、姫様は騙せても我々は騙せないぞ。そのまま竜に食われるがいい」
俺の真下の魔法陣が輝くと俺はその空間から消えた。
気が付くと巨大な木々と生ぬるい風の吹く場所にいた、刺々しい葉に巨大な木、ここは竜の森と呼ばれる数種類の竜種が住み着く、森だ。
魔力無しがどうこうできる場所じゃない、これはこのまま死ねとあのローブの集団は言っているのだろう、血が流れているし竜は鼻がいいすぐ竜は来るだろう。
俺は治癒魔法を使って傷を治し、服も創造魔法で綺麗に直し、浄化魔法で服に付着している血を消した。
「さて、これからどうするかね」
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