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「そういえば、異世界に来たんだからこれは浮くな」
俺は創造魔法で黒の制服とスニーカーをファンタジーで浮かない見た目に変えた、麻布の服にズボン革のブーツにおまけで茶色のローブだ。
眼鏡は元々オシャレというか顔を見られたくないから、つけていただけであって飾りだったので、消滅させておく。
異世界で俺の顔知ってるのは多分数えられる程度だろう、隠す必要もない。
「ピーヒュルルル」
声のトーンからしてまだ子供の竜種が来たようだ。
木々を揺らす暴風の中、俺は気にせず声の主を見ている。
緑色の丸い鱗にびっしり覆われた身体は手足がなければ大きな蛇のようにも見える、子供で巣立ち前のようで、まだ4メートル程しかない。
グリーンワイバーン、風の魔法を扱う子供でも一般人ならひき肉にしてしまう程の力を持つ、俺はワイバーンの目を見る、色は橙、子供なのに魔力量は優秀のようだ。
『動物かと思ったら、なんでこんなところに人間が居るの?』
『俺も聞きたいね。なんでこんなとこに飛ばされたのかさ』
俺はやれやれと首を横にふる。
『人間なのに竜の言葉喋れるなんて、どういう声帯してるのさ』
『ああ、喋れるように声帯弄ってるんだ。気にするな俺にしか出来ないからさ』
『もしかして、ユウって人なの?』
『大正解だな、誰から俺のこと聞いたんだ?』
『お爺ちゃんから』
『ははーん、読めたぞ。リドルフの奴俺の話、色んな奴にしてるんだな。アイツの性格ならあり得る。こっ恥ずかしい、孫に何を言い聞かせてんだ……』
ルドルフは俺が勇者やってる時に常に移動用として使っていた竜だ、人前で移動魔法とか目立つだろ?
『お爺ちゃんの名前も知ってるし、ユウが現れたら連れて来いって言われてるんだよ。僕の首のところに乗ってよ。僕はリュリュって言うんだから孫って言わないでよね』
『はいよ』
俺はリュリュの首元に跨った。
『落ちないでねー』
俺は風魔法で暴風を防いで乗る、普通の人間なら空に上った瞬間に紐なしバンジーするぐらいリュリュの飛び方は荒かった、飛行訓練の途中みたいだしな、仕方ないな。
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