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「前はもっと上の階で眺め良かったんだけどな。
まあ立地はいいだろ?
セキュリティないけど、
男だから別に要らないし」
先を歩く戸川君が振り向いた。
「おい。なんでそんな後ろなんだよ。
一人で喋ってるみたいだろ」
「だって、どこに向かってるのか分からないんだもん」
上から叱られても嬉しい私は、
小走りで横に並んだ。
「コンビニだよ、お前んち側の」
週末の夜の駅前で、酔っ払って騒ぐサラリーマンの集団から遠ざけるように私の腕を引いた。
「それから送ってくからな」
…飲み直すんじゃなかったんだ。
高揚した気持ちがしぼんでいく。
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