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絡み合う視線に、想いを込めた。
当て付けでも演技でもない、
本当のキスがほしいと。
頬を包む彼の手のひらの温かさに
ゆっくりと目蓋を閉じる。
彼の顔が近づき、
唇に彼の息を感じた。
でも、不意に彼は動きを止めた。
目をあけると、
彼の表情が微かに揺れていた。
いつもの強気な表情の下に、
どこか弱さを孕んだような、
見たことのない色を浮かべて。
彼の表情から何かを読み取ろうと
ただ見つめる。
「……泣いてたよな」
そう一言、彼が呟いた。
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