唇の距離 #2

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「……え?」 意味が分からなくて、 思わず聞き返した。 「……あの時」 あの時? 最初の日のこと? それとも……。 「……ごめんな」 静かな声音と同時に、彼の手がするりと私の頬から離れていった。 頬に触れる夜の空気がさっきより冷たく感じられる。 「…もう立てるか?」 「うん…ごめん」 私がちゃんと立てるか気遣いながらも、彼は体を離して一歩下がった。 たった一歩。 でも私にはそれがひどく遠く感じられた。
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