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「……え?」
意味が分からなくて、
思わず聞き返した。
「……あの時」
あの時?
最初の日のこと?
それとも……。
「……ごめんな」
静かな声音と同時に、彼の手がするりと私の頬から離れていった。
頬に触れる夜の空気がさっきより冷たく感じられる。
「…もう立てるか?」
「うん…ごめん」
私がちゃんと立てるか気遣いながらも、彼は体を離して一歩下がった。
たった一歩。
でも私にはそれがひどく遠く感じられた。
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