唇の距離 #2

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「今度飲む時は一缶限定だな」 「うん」 “今度”もあるんだとホッとして 戸川君に笑顔を向ける。 元通りになれたのなら、 わざわざこの均衡を失うのが怖くて。 ただの同期なのか、 友達なのか、 それ以上なのか。 妙な出逢い方をしたせいで、 戸川君との距離が分からない。 決定的なことを避けるように、私達はふらふらと危ういバランスを保っているようだ。 「今日はお開きだな。送ってく」 戸川君も微笑んだ。
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