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海外拠点の多さでうちの会社を選んだと、戸川君は話してくれた。
途上国でもいい、若いうちに一人で身軽に色んな世界が見たいと。
「俺がやるよ」
運ばれた料理を取り分けようとする私を手で制して、戸川君が代わりにやってくれた。
「ありがと。
…じゃ、近いうちにまた居なくなっちゃうんだね」
彼の意外に器用な手つきを見ながら、心が寂しさに染まっていくのを感じる。
せっかく夢を語ってくれたというのに、なんて私は情けないんだろう。
「いつになるか分からないけど。
でも夢だったからな」
そんな私の葛藤なんて知らない彼は、にっこりと笑った。
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