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「……気にしてるのは、
営業部門の奴らの雑音だろ」
隠した本音を言い当てられて、
驚いて彼の顔を凝視した。
「戸川君は、少しは思わないの?
私たち管理部門が…お荷物だと」
「不必要な仕事なんてないと
俺は思うけどな」
「……ありがとう」
疲れた心が弱くなりかけて、
慌てて引き締めた。
「与えられたものをこなしていくしかないよね。途中で投げ出すのは嫌だから。頑張るよ」
「ん、頑張ろうな」
そう言う戸川君の目は優しくて、どうしてこの人が冷たいだなんて言われてるのか不思議なぐらいだった。
この時の私達は
想像もしていなかったけれど。
私達はずっと後で、
この日の互いの言葉を、
何度も何度も思い起こすことになる。
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