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(どうする、どうする?)  タツオは塹壕(ざんごう)に伏せたまま、必死に考えていた。その間も頭上を狙撃用ライフルの重い銃声が駆(か)けていく。指揮官は孤独だ。あわてたり、迷ったりするところを部下に見せることはできなかった。タツオが不安を覗(のぞ)かせれば士気は下がり、最悪の場合、命令系統が断裂し戦闘集団を維持できなくなる。そうなれば、進駐官養成校とはいえ、みなただの高校生に戻ってしまうだろう。タツオはクラスメート全員の視線を痛いほど感じていた。決断の時間はもうわずかだ。時間稼(かせ)ぎのために叫んだ。 「誰か敵の状況を確認してくれ」  洒落者(しゃれもの)のクニが塹壕にしゃがみこんで、頭上に手鏡をかざした。
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