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俺が唯一、満点を取れなかったテストが返ってきた日のことだ。
「シンタロー、見て見て!!」
アヤノは、そう言って俺に赤ペンで大きく”79”と書いてあるテストを見せてきた。
「・・・こないだよりはマシになったな」
俺がそう答えると、アヤノは自慢げに
「それにね、シンタローが間違えた問題あってたんだよ!」
「え!?」
俺は聴力が低下したのだろうか。一瞬本気でそう思った。
「ほら、見てよ!」
そう言ってアヤノが指差したのは、『自分にとっての幸せを答えなさい。また、その理由も答えなさい』と言う問題だった。
俺がテストの終了時間ぎりぎりまで考えて、結局『幸せだと思ったとき』と書いた、なんとも厄介な問題だ。
「アヤノは何て書いたんだ?」
そう言いながらアヤノの答案を見ようとすると、
「シンタローには秘密!」
と言われてしまった。
「なんでだよ。まさか、俺を貶してるとき、とか書いたんじゃないだろうな?」 俺の答えに、アヤノはふふふ、と笑った。
「そんなわけないよ!ただ、人に見せるのはちょっと恥ずかしいんだ」
「もう楯山先生に見られたんじゃないか?」
「うわあああ!!お、お父さんに見られるなんて・・・!!」
アヤノが慌てている隙に、こっそりアヤノの答案用紙を覗き込んだ。
そこにはーー
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