シンアヤ的な話

2/4
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
 俺が唯一、満点を取れなかったテストが返ってきた日のことだ。 「シンタロー、見て見て!!」  アヤノは、そう言って俺に赤ペンで大きく”79”と書いてあるテストを見せてきた。 「・・・こないだよりはマシになったな」  俺がそう答えると、アヤノは自慢げに 「それにね、シンタローが間違えた問題あってたんだよ!」 「え!?」  俺は聴力が低下したのだろうか。一瞬本気でそう思った。 「ほら、見てよ!」  そう言ってアヤノが指差したのは、『自分にとっての幸せを答えなさい。また、その理由も答えなさい』と言う問題だった。  俺がテストの終了時間ぎりぎりまで考えて、結局『幸せだと思ったとき』と書いた、なんとも厄介な問題だ。 「アヤノは何て書いたんだ?」  そう言いながらアヤノの答案を見ようとすると、 「シンタローには秘密!」  と言われてしまった。 「なんでだよ。まさか、俺を貶してるとき、とか書いたんじゃないだろうな?」 俺の答えに、アヤノはふふふ、と笑った。 「そんなわけないよ!ただ、人に見せるのはちょっと恥ずかしいんだ」 「もう楯山先生に見られたんじゃないか?」 「うわあああ!!お、お父さんに見られるなんて・・・!!」  アヤノが慌てている隙に、こっそりアヤノの答案用紙を覗き込んだ。  そこにはーー    
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!