奇跡を知った日

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「まぁ、付き合うまではこんな感じよ」 母は初めて、両親の馴れ初めを聞く娘の私の反応を、興味深そうに眺めていた。 「どう?」 「うきうきした。もう、ラブラブじゃないの!お父さんもカッコいいこと言えるのね!」 私は女子校に通っているため、恋バナは小学生以来だ。 これを恋バナと言っていいのならばの話だが。 だからこういう話を聞くと、少なからずうきうきするのだ。 「あとね、お父さんがモテてたってことと、お母さんがそこまで気が強かったってことは意外だったかな」 「20年以上経てばねぇ。人は変わるものよ、まゆ」 母は感慨深そうだった。 「それはそうと、プロポーズの話をしてよ」 「そうね、それが本題だったものね」 そういうと母は、また遠くを見るような眼をした。
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