Ⅰ: Gambit

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「その1、新しい紅茶の試飲。  その2、暇つぶしの相手。  その3、肉体労働。  その4、書類仕事。  その5、……」  片手の指を全部折ると同時に、蓮の口元に暗い笑みが宿る。 「『ゲーム』の依頼。  ……俺はやりたい順に並べてみたんだが。  どうだ? 何番だ?」 『新しいゲームの招待状は、僕の所に来てないよ。  誰かが主催のロワイヤルの招待状も、ね』  ゲーム、というのは、ただのカードゲームでもボードゲームでも、もちろん二次元世界で楽しむゲームでもない。  喩えるのならば、チェス。  定められたルールの中で、生身の人間を駒に見たて、戦わせる。  敵を殲滅し、最後までゲーム盤の上にいた者が勝者(ウィナー)。  階級によっては相手の駒を殺してしまっても、罪に問われることはない。
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