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さっきまで私が立っていた崖が、スローモーションで遠ざかっていく。
落ちていくという感覚。
私の耳は、一切音を拾わない。
あの時の『私』のように。
「……蓮(れん)」
私が起動される前に戦っていた、先代の『私』
その『私』を支えていた……
その前も、その前もずっと、『私達』を支え続ける、たった一つの大切な存在(ヒト)。
この心臓が止まるまでに、この私として、彼に逢ってみたかった。
それが私を支えていた、たった1つの願い。
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