Interval

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「最初の百合は、欠損品(ミスメイク)だった。  でも『百合』以上の素材は見つからない。  八代が何回も実験を繰り返して、人工的に異能力を付加させた人造人間(ホムンクルス)。  『百合』はその中で唯一残った成功例だったから」  正確に言えば、生き残ったのは二人。  その二人は『椿』と『百合』と名付けられた。  だが椿は成長していく中で、異能力を失ってしまった。  だから椿は八代財閥の令嬢という立場が与えられ、駒を操る最高の主(マスター)として育てられることになった。  一方、3歳まで成長しても異能力を保持し続けた百合は、最強駒になるべくいよいよ白鞘へ送り込まれることになった。  それだけの経緯があるから、八代は『百合』が欠損品だったという判断を下しても、簡単に捨てるような真似はしなかった。  あの激流の中を血眼になって探し、損傷が激しいながらも脳だけは無事だった百合の体を回収した。
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