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そんな小さなことのために生み出されて、狂わされて。
こんな普通の娘と何1つ変わらない少女に、そんなことを繰り返してきたなんて。
狂っている。
稔はもう、そうとしか言えない。
「1カ月前に、また『百合』が死んだ」
稔が何を考えているか、百合には想像がついているのだろうか。
百合は穏やかな微笑みを浮かべたまま淡々と事実だけを語っていく。
「それまでの観察結果で、八代は……
八代の野望を継いだ椿様は、これならば大丈夫だろうと思った。
この状態ならば、絶対に何にも『百合』は屈しないと」
だから、百合はここに送られてきた。
「仕上げのために。
最初の『百合』が唯一殺せなかった相手、天翔院蓮を殺すために」
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