28人が本棚に入れています
本棚に追加
/384ページ
この地の所有者は、名を采上稔(さいじょう・みのる)という。
10年前、堕ちるところまで没落しきった采上家を若干15歳で継ぎ、たった数年で世界に名を轟かせる大財閥に育て上げた切れ者。
そして、蓮の直接の上司でもある変わり者。
何を好んでか、こんな田舎の山奥に屋敷を構え、のんびり生活しながら日々の業務にいそしんでいる、財閥総帥サマである。
そのおかげで部下である蓮も、空気と水が綺麗な所でのんびり暮らしていられるわけだから、そこに文句を言うつもりはないのだが。
「……けど、趣味がヘチマ栽培と紅茶の飲み比べってのは、何なんだ?」
紅茶趣味は、まだ理解できる。
上流階級者のたしみとして、一般的なものだと思うからだ。
最初のコメントを投稿しよう!