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傍観者だとかなんだとかを自称する、スーツ姿の男に会ったり、テロリストに銃で肩を撃たれたり、ともすれば眠之木さんが『聖執行』における『大偽名分』を名乗る兵士だったことがわかったり・・・・・・、あげく、火之不審火の眼球を抉ったのが彼女であることが分かったりした
そう言えばあの日は、火之不審火に『大偽名分』・・・・・・、すなわち眠之木さんのことを、知っているか、なんてことを訊いたっけ
そこから、何かしらの違和感を覚えてもおかしくはない
「その日がどうかしたの」
「いえ、大したことじゃないんですけれど、しばらく前に、その日のことを妹さんに問いかけてみたんですけれど、どうにも成果が芳しくなかったので、どうせならこの機会に、何かあったのかとお尋ねしようと思いまして」
「・・・・・・、はぁ」
まあ、妹に訊いても仕方ないだろうなぁ・・・・・・、確か、記憶を消去されたりしていたはずだし。そもそも、眠之木さんが『聖執行』の人間だとわかった時には、すでに夢の中だったはずだ
あの場の出来事を知っているのは、僕と眠之木さん・・・・・・、それに、『聖執行』のみなさんだけだ
秘密主義、のつもりはないけれど・・・・・・、伏せておける情報は出来る限り伏せ、隠しておける情報は出来る限り隠すのが、僕のやり方だった
だから、ごまかす
「・・・・・・、とは言っても、特に何もなかったよ」
「・・・・・・、そう、ですか。それならいいんですけれどね・・・・・・、それが嘘だろうと、本当だろうと、隠すなら、隠すだけの理由があるのか、それとも、私にそれだけの信用がないのかの、どちらかでしょう」
「・・・・・・、どっちも違うんだけれどね」
そう呟いた僕の言葉は、火之不審火には届かなかったようで、反応はなかった。幸いである
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