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「べ、別にんなこと兄貴には関係ないでしょ。いちいち干渉しないでよ」
何故か誤魔化すように言うと、一歌は洗面所へと向かった。宣言通り風呂に入るのだろう。
俺も今から顔くらいは洗いたかったのだが、一歌が服を脱いで浴室に入るまではそれもお預けとなってしまった。
だが、それは結果的に何の問題もなかった。
何故なら、
「兄貴……だと……」
約三年振りに妹から「兄」扱いされたことに衝撃を受け、俺は感動のあまり一歌が浴室に入る音がするまで口を半開きにしたまま呆然と立ち尽くしていたからである。
***
俺は基本的に引き籠りである。
引き籠りといっても、登校拒否や働きたくないでござる宣言をして社会的義務を放棄している本物のアレではなく、無遅刻無欠席で学校には通いクラスに数人友達がいるけれど、漫画やゲームや読書に興味を持ち学校以外の時間に部屋から出ることの少ない程度の、「引き籠りがちな学生」のことである。
であるからして、必ずしも外出をしないというわけではない。
漫画とゲームと読書を趣味とするからには、当然それに関する店や施設に立ち寄る場合もある。
特に、趣味嗜好に使える金銭が日頃の行いにかかわらず月五千円と決められているバイト禁止の一般的高校生としては、なるべく金のかからない趣味を重視する。
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