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そう由に答えた空は、改めて怪人黒マント…もとい、ヘレンを見る。
「んで?まだ黙秘するか?給仕係りさん?」
「…これは、復讐だ。信三郎様に幼少時代に引き取られ、私を育ててくださり、働き口と、心優しいお嬢様との暮らしを奪った畜生共に…」
「私怨じゃねーのか?本音としちゃよ?」
核心に触れたのか、ヘレンは激昂して空に「違う!!!」と豪語する。
「私は信三郎様と、紀子お嬢様に恩返しをしていない!!奴等は信三郎様がお造りになった兵器を…」
「やかましい」
足払いをしてヘレンを転ばし、鬼切砲刀の銃口を彼女の額に押し付けた。
「お前から一方的な感情しか感じねーんだよ。敵討ち?復讐?その為なら何やっても許されるってか?ナメんなよコラ?」
「お前に何が判る!?私は…私は愛しい人を目の前で…!!」
睨みながら泣き出すヘレンに、由は空に「銃、降ろしてくれ」と言った。
「…ウチは、その気持ち判るぞ?」
「何だと…?」
「コイツも、目の前で育ての親を殺されてんだよ。でもな、お前とはハッキリ違う」
タバコの煙を吹き付ける空は、ヘレンに「敵討ちで、ヘラヘラ笑ったりしねーんだよ」と言った。
「笑いながら平気で何人もブッ殺す様な奴が、実は復讐に燃える女なワケがねーだろが。バカ者め」
「……」
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