72人が本棚に入れています
本棚に追加
コツコツとハイヒールの足音を鳴らしながら現れた爪牙子に、由は堪らず空の背後に身を隠した。
「あらヤダ。嫌われ者扱い?」
「お前が俺の名前に反応したのが悪い。そして、テメェを奴隷にした覚えもねぇ」
一瞬のうちに手錠を外した空は、そのまま由の手錠も外すと、格子越しに「で、状況説明しろ」と爪牙子に問い掛ける。
「ハーイ。実はね、遂に出たのよ。例のニセ札の原版が」
「…何ですと?」
「原版?」
聞き慣れないフレーズに困惑する由に「紙幣を印刷するのに使うハンコみたいなもんだ」と空が説明する。
.
最初のコメントを投稿しよう!