第3話

16/26
前へ
/598ページ
次へ
「つまり、200億の金と、原版を交換すると?」 「えぇ。この組織に入って数ヶ月ですが、やはり大きな手柄の一つでも欲しいんですよ?」 そう爪牙子が言うと、ボスは、葉巻の灰をゴツゴツするガラスの灰皿に落とす。 「200億の賞金首か…逃げないだろうな?」 「手配書には"DorA"の明記がされてますので、問題ありません」 "DorA"とは「Dead or Alive」の隠語である。 政府の公式では「生け捕り」としているが、これはあくまでも表向きでの事。 被害者である月の居住者から言わせたら「生かしておくな」と言うとろであるのだ。 「しかし、良く考えなかったな?そんな額なら、出し抜く事だって…」 「イヤですわぁ。私だって、何処かのオバカさんのような、ボスから原版をくすねたりして、命を狙われたくはないですよ」 愛想笑いする爪牙子に、空は溜め息をつくと、彼女は「誰か、この2人を牢屋に運んでくれる?」と言った。 「あのさぁ、ちょーっと聞いちゃくれないか?」 「何かしら?大泥棒さん?」 顔で胸ポケットを指す空は、爪牙子に「煙草、吸って良い?」と言った。 「あらあら?捕まってて、この窮地になるかもしれないのに、余裕ね?此処は、ボス以外は禁煙室扱いなの」 「んじゃさぁ、今いる部屋を変えてもらうのは?あそこ、床が硬くてさぁ」 そう言った途端、爪牙子に平手打ちされた空に、爪牙子は「代金はコレで良いかしら?」と言って顔を踏み付けると、それを見て大笑いするボス。 「ハッハッハッハッハ!流石はプロだな?」 「恐縮です。良い顔が台無しね?」 「イテテテ…良い顔だから、これしきで整形しないからな?」 .
/598ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加