三章

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「ですが、長州の上部は過激派では無いですから、吉田は何かするかもしれませんね。過激派をさらに勢いづけ、長州全体を倒幕に傾けるために。 その筆頭の四人が入京したという噂もありますからそろそろ何かが起こるかもしれません。 過激派を使い、長州全体を倒幕に傾けるなんて吉田にしかできないでしょうしね。」 その後も説明を続けている山南さんの声が遠くに聞こえる。 私が死んだら悲しい?ーーーーー 俺たちは得意分野でーーーーー そろそろかなぁってーーーーー 人を向かせるーーーーー 時代を終わらせるーーーーー 一ヶ月もないーーーーー あぁ、全部繋がった。 あの男は、これを伝えたかったのか。 桜は、自分の命と引き替えに倒幕に傾けるつもりなんだね。 その期限は、もう迫ってるんだ。 桜、君は桜のように散るつもりなんだ。 「総司!?」 山南さんが驚いたような声を上げる。 なぜなら、僕の頬には涙が伝っているから。 出来ることなら気付きたくなかった。 桜の目的も今まで分からなかった思いも。 ドキドキして、胸が痛くなるこの思いに気付いた瞬間、君の死の期限まで知ってしまった。 ねぇ…桜、君は一ヶ月しか僕の側にいないの?   「山南さん、ありがとうございました。」 「大丈夫かい?」 「はい。」
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