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逃げるように山南さんの部屋を出て、自室にたどり着く前にしゃがみ込む。
「っ!…はぁぁ…くっ。」
涙とともに嗚咽が漏れる。
胸が苦しい。
涙が止まらない。
桜…。
「何、泣いてんだ。お前。」
頭上から聞こえてくるのは、低い土方さんの声。
「放っておいて下さい。」
「強がってんじゃねえよ、身を切るように泣いてるくせして。話くらい聞いてやる。」
土方さんの大きな手が、僕の頭をポンポンと撫でる。
「僕の抱えているものに気付いてくれて、それを受け止めてくれる人がいたんです。」
人を斬ることが怖くて、でも、認められなくて笑顔で隠してた僕の本心を、見抜いて、弱くないと言ってくれた桜。
「いつも無表情で、掴み所が無くて秘密ばかりなのに、僕の話は聞いてくれて、辛さに気付いてくれるんです。」
いつもいつも無表情で、話を聞いてて、励ましてくれるから、僕は心から笑えるようになったと思う。
「その人は、ある目的のために命を捧げるつもりなんです。あと一ヶ月もしたら彼女は居なくなるんです!やっと、胸が痛くなるわけもドキドキする訳も気付いたのに、彼女は居なくなるんです。」
こんなに好きなのに、彼女は居なくなる。
「そいつを止めること出来ねえだろうな。だったら、その思いを伝えるべき何じゃないのか?」
煙管を吹かしながら、僕に問いかける土方さん。
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