終章

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それから、桜と過ごす時間はそんなに多くはなかった。 そして、事件は起きた。 桝屋の小高俊太郎が捕縛され、桝屋からは、武器やら書簡やらが発見された。 その書簡の中には、吉田稔麿の名前もあった。 小高の拷問は、土方さんが行っている。 小高が口を割るのも時間の問題だろう。 「やっぱり来たね。」 それは、今、目の前にいる桜を失う日が来たことを知らせる事件だった。 「神社に居ると思ってましたよ。」 「来ると思ってたよ。」 「死ぬ気ですか?」 「愚問だね、沖田。」 沖田…。 そう、呼ばれた瞬間。 もう、戻れないと分かってしまった。 「池田屋と四国屋。」 それだけ告げると桜は、手を伸ばす間もなくいなくなってしまった。 池田屋と四国屋? なんのことだ? 覚悟してたことだけど、目の前にある別れに頭が働かない。 働かない頭で考えても分からない。 取りあえず、屯所戻らないと。 屯所に戻るともう、小高は口を割っていた。 桜の目的まで後少し。
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