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「おい、こっちが当たりかよ。」
新八さんが嬉しそうに言う。
「なんで、嬉しそうなんだよ。分が悪いじゃん!」
平助が、俺たちちょっとしかいないんだぞと新八さんに言えば、ギャーギャーと騒ぎ出す、二人。
「応援はまだ来ないな…。」
「逃がしたら間抜けですよ、踏み込みましょう。」
僕がそう言えば、ニッと笑った近藤さんが踏み込むぞ!と言う。
桜が待ってるから…。
早く、行かないと。
「我ら新撰組!詮議のため宿内を改める!手向かう者は切り捨てる!!」
扉を蹴破った近藤さんが高らかに叫ぶと同時に、二階へ駆け上がる。
向かってくる浪士を切り捨て、二階の部屋をかったぱしから見て回る。
絶対、桜は二階にいる!
二階にいる浪士をほとんど殺した頃に、一番奥の部屋に着いた。
勢いよく襖を開ければ、窓に寄りかかり空を見上げる桜がいた。
「来たね、総司…。」
その悲しい声に抱き締めたくなるけど、刀をぎゅっと握り直す。
「はい、あなたを殺しにきましたよ。桜。」
「ありがとう。でも、ただでやられるわけにはいかないんだよ。」
静かに刀を抜いた桜が、構える。
出会った頃から変わらない凛とした瞳が、真っ直ぐに僕を見る。
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