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次の瞬間、刃が悲しい音を立て交わった。
「意外とやりますね。」
「これでも、長州では一二を争う剣の使い手なんだよ。」
実力は、僕の方が少し上。
でも、桜は早い。
ほとんど、拮抗してる。
鍔競りから離れた桜が刀を構え直す。
これが、最後の一撃だろう。
地面を蹴った瞬間、想像以上に早い桜の刀が振り下ろされる。
あー、相打ちか。
それも悪くないかななんて思ったのに…。
「っつ!!」
桜の刀は、少し離れた場所で畳に刺さり、僕の刀は、桜の右胸を貫いていた。
「なんで!?」
「ガハッ!…流石、総司だね。やっぱり、強い。」
血を吐きながら倒れた桜を抱き留める。
「そんな顔を…しないで…くれる?」
「なんで、刀を捨てたんですか!?」
「君を…殺す必要……なんて…はぁ…私には…なっ…いんだよね。」
「そんな!!」
どんどん冷たくなる桜の体。
どんなに強く抱き締めても、死を止めることは出来ない。
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