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「なぜ、あなたが下手人を探すんですか?」
「なぜねー。」
答える気など無いのか正直に答える気がないのか、わざとらしく考える女。
掴めない。
この人と話してると調子を乱される。
「そうだね。その下手人に大切な人を殺された…。とでも言っておこうか。」
「そんなんで納得いくとでも?」
「してくれなくても構わないよ。手を貸してくれるなら、ね。」
「貸しませんよ。」
興味がないと言ったら嘘になる。
それでも、怪しすぎるこの女にあまり関わりたくはない。
「いや、君は必ず貸すよ。その気になったら、そこの神社に来てよ。私は、いるからさ。」
挑戦的な凛とした目が、僕の心を見透かしたようで居心地が悪い。
「鬼が来たね。」
お別れだねと背を向け去る女。
女の背が見えなくなる頃に土方さんがやってきた。
「総司!」
「土方さん、これがそうなんですけど…。」
最近、こいつ同じ死体が見つかってるんですか?そう、聞こうと思って止めた。
あの女の子とを話せば、土方さんは必ず女を捕まえるだろう。
なぜか、それはしたくなかった。
「おい、土方さん。これで、何件目だよ。」
別の場所を巡察していた左之さんが、やってきて死体を指さしながら言う。
何件目?
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